種姓
種姓(しゅせい)とは、古代インドの身分制度「ヴァルナ」のことで、現代インドでは「カースト」[1]と呼ばれている。霊界物語においては月の国における身分制度である。
概要
種姓は次の四姓(しせい)ある。
上の説明は霊界物語第39巻総説#に、下の説明は国語辞典や百科事典に記されている世間一般的な説明である。
- バラモン(婆羅門):僧侶・祭司階級。
- クシャトリヤ(刹帝利):王族及び武士階級。
- ヴァイシャ(吠舎):主に商業に携わる平民。
- シュードラ(首陀羅):農民や牧畜民。上位3階級に奉仕する隷属民。
基本的にはどちらの説明も同じようなことだが、世間一般的には第一階級が祭司のバラモンなのに対して、霊界物語では王族の刹帝利が第一階級になっている。王族と言ってもインドで一つの王家なのではなく、インドには無数の国があり(霊界物語では「七千余国の月の国」等と表現される)それぞれの国の王族である。なお、この四階級のさらに下に「旃陀羅(センダラ)」という不可触民階級がある。
霊界物語では刹帝利が第一階級になっているが、刹帝利の身魂が次第に悪化し、大黒主が現れて以後は、婆羅門が暴威を振るい、刹帝利は押し込められて行ったということが、霊界物語に記されている。[3] [4]
登場人物
霊界物語に登場する人物で、刹帝利等の階級が明記されている人物は次の通りである。
刹帝利
霊界物語で「刹帝利」は、王族階級としてではなく、国王そのものを指す場合が多い。階級を指す場合には「刹帝利族」とか「刹帝利家」等と呼ばれる。
- 大黒主(鬼雲彦):〈鬼雲彦の大黒主命は自ら刹帝利の本種と称し、月の国の大元首たるべき者と揚言しつつあつた〉〔第39巻第1章「大黒主」#〕。
- ハム:ガランダ国の刹帝利族。〔第39巻〕
- セーラン王:イルナの国の刹帝利。〔第41巻〕
- ヤスダラ姫:セーラン王の従姉。(「刹帝利の家筋」[6])
- ビクトリヤ王:ビクの国の刹帝利。〔第53巻〕
- ガーデン王:トルマン国の刹帝利。〔第70巻〕
婆羅門
婆羅門と明記されている人物はいないが、バラモン教の宣伝使は婆羅門だと考えられる。
毘舎
シャール:テルマン国の毘舎。イルナの国の右守カールチンの陰謀によってヤスダラ姫はシャールと結婚させられる。〔第41巻〕
首陀
階級としては下層だが、経済的には必ずしも貧しいわけではない。テームスやバーチルのように、首陀の豪農もいる。
- イール:〈私はデカタン高原のサワラといふ小さい国の首陀の家に生れた者ですが〉〔第39巻第12章「種明志」#〕
- アルマ:〈俺はかう見えても、チヤキチヤキの首陀の家柄だ〉〔第40巻第20章「入那の森」#〕
- 竜雲:〈私は卑しき首陀の家に生れたもので厶います〉〔第41巻第9章「蓮の川辺」#〕
- カールチン:イルナの国の右守。〈首陀の姓より生れたる 右守司のカールチン 鰻登りに登りつめ 驕り傲ぶり今ははや セーラン王の御位を 狽ひ居るこそうたてけれ〉〔第41巻第20章「誘惑」#〕
- 楓:晴公の妹。珍彦・静子の娘。〈私はライオン河の辺に住む首陀の娘で厶ります〉〔第44巻第9章「怪光」#〕
- ハンナ:首陀の娘だが、ビクの国の王子アールと結婚する。〔第54巻〕
- テームス:玉木村の豪農。〈玉置の村司 テームス首陀の〉〔第55巻総説歌#〕
- メート:〈私の生れは月の国 テルモン山の南麓に 首陀と生れしメーテルの 私は一人の息子です〉〔第58巻第9章「湖月」#〕
- バーチル:〈イヅミの国のスマの里 首陀の豪農バーチルは〉〔第58巻第14章「猩々島」#〕
- マーク:〈マークと云ふ人間は首陀向上運動の首謀者、ラマ本山の注意人物〉〔第70巻第14章「賓民窟」#〕
- 第68巻で、タラハン国において「不逞首陀団」が暴動を起こす。〔第68巻第8章「帰鬼逸迫」#、第12章「妻狼の囁」#〕
旃陀羅
旃陀羅だと明記されている人物はいない。他人を罵る悪口として旃陀羅という言葉が使われている。例:〈毘舎よりも首陀よりも幾層倍劣つた旃陀羅の住家の様だのう〉〔第40巻第11章「三途館」#〕。
関連項目
外部リンク
- <wp>ヴァルナ (種姓)</wp>
- <wp>カースト</wp>
- <wp>バラモン</wp>
- <wp>クシャトリヤ</wp>
- <wp>ヴァイシャ</wp>
- <wp>シュードラ</wp>
- <wp>不可触民</wp>
脚注
- ↑ 「カースト」という言葉は、ポルトガル語で「血統」を意味する「casta」に由来する。
- ↑ 第40巻総説#
- ↑ 第39巻第3章「出師」#:「七千余りの国々に 王と現れます刹帝利 八岐大蛇の醜霊に 惑はされつつ日に月に よからぬ事のみ行ひつ 世の常暗となりて行く 時しもあれやバラモンの 道に仕ふる神司 大黒主が現はれて ハルナの都を根拠とし バラモン族を庇護しつつ 刹帝利族を押込めて 暴威を揮ふぞうたてけれ それに付いては毘舎首陀の 三種階級の民族も バラモン族の暴虐に 苦み悶へ国原は 怨嗟の声にみちみちぬ」
- ↑ 第45巻第14章「三昧経」#:五三公のセリフ「婆羅門教の勢力旺盛にして刹帝利族を圧迫し且つ毘舎、首陀の二族を虐げ弊害が甚だしかつたので」
- ↑ 第44巻第2章「月の影」#:松公のセリフ「兄上様(注・治国別のこと)がアーメニヤの神都より宣伝使となつて竜宮の一つ島へ渡られた後、バラモン教の一派に襲はれ刹帝利、浄行を始め毘舎、首陀の四族は四方に散乱し目も当てられぬ大惨事が突発しました」
- ↑ 第41巻第3章「偽恋」#