春日姫
春日姫(かすがひめ)は、霊界物語に登場する人物。モスコーの八王神・道貫彦の長女[1]。後に宣伝使となる。夫は鷹住別。
概要
- 初出:第3巻第29章「男波女波」#
- 第3巻第31章「竜神の瀑布」#で「鶴舞姫(つるまいひめ)」という仮名を名乗っている。
- 春日姫の容姿は「眉長く眼涼しく、口許しまりて色白く、膚やはらかく、あたかも桜花の時をえて咲初めたるごとき容姿を持てりき」[2]。
関係の深い人物
主なエピソード
第3巻
- 春日姫の父・道貫彦はローマに召集されて長年不在で、母・道貫姫は子に甘く、春日姫は放縦堕落な行動をとり続けていた。春日姫は竹倉別(八王大神常世彦の従臣)に一目惚れし、恋の病で寝込むが、侍女の春姫が間を取り持ち、竹倉別は春日姫と交際するようになった。しかし春日姫は、烏羽玉の宮を参拝する時にすれ違った鷹住別に一目惚れし、以後は鷹住別と交際するようになる。〔第3巻第29章「男波女波」#~第30章「抱擁帰一」#〕
- モスコーに帰城した道貫彦は、自分の不在中に春日姫と鷹住別が夫婦になったことを大いに怒り、鷹住別を常世の国に追放してしまう。春日姫は連日連夜泣き暮らし、ついに心魂に異常を来し、狂乱状態となる。従臣の竹友別と畠照彦は、春日姫を鶴舞姫と仮名し、天道山の「竜神の滝」という大瀑布に滝行に連れて行くが、ますます異常になる。侍従長の大道別は部下に命じて春日姫を城に連れ戻した。大道別は刀で春日姫の首を斬ってしまう。するとそれは春日姫ではなく、銀毛八尾の悪狐の変化であった。本物の春日姫は鷹住別と常世の国へ逃げていた[3]。〔第3巻第31章「竜神の瀑布」#~第32章「破軍の剣」#〕
第4巻
- 春日姫と鷹住別は神命により、常世城に入り、常世彦のお気に入りの従臣となっていた[4]。常世会議の二日目に春日姫は登壇して発言する。それを聞いて道貫彦も登壇し、娘が仕えている八王大神常世彦を信頼し、常世彦の提案に賛成する。〔第4巻第7章「涼風凄風」#~第8章「不意の邂逅」#〕
第5巻
- 顕恩郷に常治彦(常世彦の息子)、玉春姫(常世彦の娘)、塩治姫(塩長彦の娘)の三人が大きな亀(大道別の分霊・琴平別神)の背に乗って運ばれて来た。塩治姫と見えた者は、実は春日姫であり、玉春姫と見えた者は、実は八島姫であった。顕恩郷は南天王(大道別の分霊・日の出神)が治めており、春日姫・八島姫・南天王の三人は鼎談した。南天王が「清彦」と呼ぶと、夫の鷹住別が現れた。南天王は鷹住別に大王の位を譲り、自分は顕恩郷を去った。〔第5巻第5章「盲亀の浮木」#~第7章「三拍子」#〕
- 顕恩郷に橙園郷の住民が攻めてきた。南天王(鷹住別)は重傷を負って山に逃げる。顕恩郷の住民が戦って、橙園郷の住民は退却した。戦わずに逃げた南天王は顕恩郷の住民の信頼を失い、春日姫と二人で顕恩郷を逃げ去り、モスコーに帰った。第5巻第20章「猿蟹合戦」#
- モスコーに帰る途中、鷹住別は石につまづいて足を痛め、歩けなくなってしまった[5]。春日姫は、木で作った車[6]に鷹住別を乗せ、車を曳いて行く。イホの国の野原で宣伝使の祝部神(天山の八王神だった斎代彦)一行3人(祝部神・杉高彦・祝彦)と遭遇した。祝部神は滑稽な歌を歌い出す。それを聞いて鷹住別も思わず立ち上がって一緒に歌い、踊り出した。鷹住別の足が立ったので、春日姫は嬉しくて泣いた。〔第5巻第37章「片輪車」#~第38章「回春の歓」#〕
第6巻
- 月照彦神がモスコーの道貫彦の館を訪れ〔第5巻第40章「紅葉山」#〕、鷹住別は宣伝使となって旅に出た。その後、春日姫は月照彦神の跡を慕い、また鷹住別に巡り会うため、侍女の春姫を連れてモスコーを旅立った。鬼城山で美山彦に捕まってしまう。それから3年後[7]、月照彦と足真彦が鬼城山を訪れたのを機に、月照彦・足真彦・春日姫・春姫の4人で鬼城山の曲津たちを改心させる。4人は鬼城山を出て旅立った。〔第6巻第4章「立春到達」#~第6章「暗雲消散」#〕
- 4人は袂を分かち、それぞれ一人旅をする。春日姫は北東へ進み、常世国の東岸に出た[8]。岸に着いた船(春日丸[9])に、宣伝使の弘子彦が乗っていた。上陸した弘子彦は、春日姫と話をする。同じ船に鷹住別も乗っており、春日姫がいるとは知らずに船を降りてしまった。弘子彦は西へ向かい、春日姫は船に乗った。船が出航する時に、夫の鷹住別が陸上にいることに気がついた。二人は話をすることもなく、船は沖へ進んで行った。〔第6巻第7章「旭光照波」#~第10章「四鳥の別れ」#〕
- 春日姫は長白山の大森林を歩いていたが、毒蛇に咬まれて歩けなくなってしまう。そこへ春姫が通りがかった。二人は久しぶりの再会に喜ぶ。そこへウラル教の一味が現れて二人に襲いかかる。しかし日の出神(大道別の分霊)が現れて二人を助けた。日の出神は薬草で春日姫の傷を手当てする(→「起死回生の神薬」)。日の出神は春日姫に、女たるものは家を治めることが第一の務めである、としてモスコーに帰るよう諭すが、春日姫は、いったん思い定めた宣伝使、初心を曲げるわけに行かない、と拒否する。日の出神は春日姫の固い決心に感嘆した。三人は長白山を下り、東西南の三方に別れて宣伝の旅を続けた。〔第6巻第11章「山中の邂逅」#~第12章「起死回生」#〕
脚注
- ↑ 第3巻第29章「男波女波」#:「その長女春日姫は」:ただし二女以降の名は不明。
- ↑ 第3巻第29章「男波女波」#
- ↑ 第3巻第31章「竜神の瀑布」#:大道別のセリフ「春日姫はすでに鷹住別と手をたづさへて常世国にあり」
- ↑ 第4巻第3章「使臣の派遣」#:大道別が広宗彦に出した手紙「私のほかに八島姫、鷹住別、春日姫の三人は常世彦の気に入りの従臣となつて仕へてゐる」
- ↑ 第5巻第37章「片輪車」#:春日姫の歌「石に躓き足破り 破れ被れの二人連れ 夫の病は日に夜に 痛み苦しみ堪へ難き」
- ↑ 第5巻第37章「片輪車」#:「松の大木を輪切にしたる車を曳きつつ」
- ↑ 第6巻第4章「立春到達」#:春日姫のセリフ「吾夫鷹住別は宣伝使となつて天下を遍歴し、妾は御恩深き月照彦の御跡を慕ひ、一つは吾夫鷹住別に巡り会はむと、モスコーの城を後にして(略)今より三年のその昔、美山彦の計略に乗せられ」
- ↑ 第6巻第7章「旭光照波」#:「春日姫は尊き神の守護の下に、夜に日をついて北東へ北東へと進みつつ、常世国の東岸に現はれける」
- ↑ 第6巻第10章「四鳥の別れ」#:「船の名は偶然にも春日丸と云へるなりける」