酒の滝壺
(クシの滝壺から転送)
酒の滝壺(くしのたきつほ、さけのたきつぼ)は、
本項では滝壺としての酒の滝壺について解説する。
概要
- 表記ゆれ:酒の泉(さけのいずみ)、クシの滝、クシの滝壺、クシの雄滝(おだき) [2]
- 初出:第7巻第20章「副守飛出」#
- 第7巻と第25巻だけに登場する。
- 第7巻では「酒(さけ)」の滝壺と呼ばれているが、第25巻では「酒(くし)」の滝壺、または「クシ」の滝壺と呼ばれている。
- 酒の滝(酒の泉)は、天然の酒が泉のように湧き出ている[3]。酒が滝となって流れ落ちているわけではない。
- 滝の近くの村を「ヒルの郷」と呼ぶ。
- 竜宮島の景勝地は、第一に「諏訪の湖」、第二にヒルの郷のクシの滝壺の近辺である。[4]
- 「清酒」と書いてあるので日本酒か?[5]
主なエピソード
第7巻
- 日の出神は田依彦、時彦、芳彦を伴って竜宮島の山奥の酒の滝に連れて行き、時彦と芳彦の口から焼石(副守護神)を吐き出させて、酒嫌いにさせる。田依彦、時彦、芳彦はそれぞれ飯依彦、久々神、久木神と改名する。〔第7巻第20章「副守飛出」#〕
- 日の出神は竜宮島の国魂・真澄姫命を祭る宮殿を造営することを久々神、久木神に命じた。造営に従事する島人たちは酒を飲むため酒の泉に行くが、泉は岩で包まれてしまっている。人の口くらいの穴が上面に開いており、そこから飲もうとするが、舌が届かずに飲みたくても飲めない。島人たちの腹から焼石が飛び出し、酒嫌いになった。〔第7巻第21章「飲めぬ酒」#〕
第25巻
- (第7巻からかなりの歳月を経た後世のエピソード)清公はチャンキー、モンキーを伴いクシの滝に向かった。すると大蛇がヒルの郷の郷人たちを取り巻いていた。日の出神が現れてからこの滝の酒は枯れてしまい、そのためこの酒を飲んでいた大蛇は月に1回この滝壺に酒を満たすよう郷人に要求した。しかしその要求は苦痛であるため郷人は酒に毒を入れて大蛇を殺そうとしたが毒が効かずに暴れていたのである。郷人は戦って大蛇を殺そうとするが、清公は、たとえ大蛇といえども天帝の分身分体であるから安易に殺してはならないと諫めた。そして宣伝歌を歌うと大蛇は小さな蛇と化し、姿を隠した。〔第25巻第5章「酒の滝壺」#~第7章「大蛇解脱」#〕
- 清公はクシの滝のそばに庵を結び一ヵ月ばかり滞在した後、アイル、テーナの2人を加えて一行5人で旅立った。(この後のエピソードは「玉野ケ原」に移る) 〔第25巻第8章「奇の巌窟」#〕
焼石
口から焼石が飛び出すエピソードは、クシの滝において二度(上記エピソード参照)ある他に、筑紫の都において蚊取別が酒嫌いになるエピソードがある。同じ第7巻の後ろの方の第7巻第45章「酒魂」#に出て来る。
くし
「くし」は酒の異称であり、「奇(く)し」(霊妙な)の意との説もある。
古事記で酒を司る首長を「酒の司(くしのかみ)」と呼ぶ。
脚注
外部リンク
- 酒の司/酒の長 - コトバンク
- <wp>造酒司</wp> - 律令制下での官職