祠の森
祠の森(ほこらのもり)は、霊界物語に登場する森。
(1) イホの都の町外れにある森。国魂神を祀る小さな祠がある。→「祠の森 (イホ)」を見よ
本ページでは(2)について解説する。
概要
- 初出:第43巻総説#、第43巻第7章「森議」#
- 第43巻第6章「祠前」#からこの森が舞台として出ている(ただし「祠の森」という名は出ない)。
- 河鹿峠の南の坂を下ったところに八分ばかり壊れた祠(山神の祠)があり、その辺りの森が「祠の森」と呼ばれる。[1] [2]
- 最初は何神を祀った祠なのか不明とされているが、後にそこが大自在天を祀る祠だと明かされている。[3] [4]
主なエピソード
祠の森で起きたエピソードは次の2つのエピソードに大別できる。
- (1) 玉国別が祠の森に三五教の神殿(祠の森の聖場)を造る。〔第43巻第6章~第44巻第6章、第49巻第3章~第5章〕
- (2) その神殿を高姫と妖幻坊の杢助が乗っ取ろうとする。〔第49巻第9章~第50章〕
(1)
玉国別が祠の森に聖場を造るエピソード。
- 懐谷で失明し左目しか見えなくなった[5]玉国別は、河鹿峠の南坂を下りて、途中の祠の森で休憩する。すると前方から、イソの館へ進軍するバラモン軍の鬼春別将軍が率いる先鋒隊がやって来た。〔第43巻第6章「祠前」#〕
- 玉国別一行4人(他に道公、純公、伊太公)は祠の裏の木陰に身を隠す。玉国別はバラモン軍を通過させ、山の上の方から後でやって来る治国別一行と、バラモン軍を挟み撃ちにしようという作戦を抱いていた。しかしバラモン軍の進軍歌を聞いた伊太公はのぼせ上がってしまい、金剛杖を振りかざしてバラモン軍に飛び込んで行った。バラモン軍は右往左往し混乱に陥る。伊太公は捕まり捕虜になってしまった。玉国別ら3人は祠の前で馬鹿話をしながら、バラモン軍が戻ってくるのを待ち伏せる。〔第43巻第7章「森議」#~第9章「輸入品」#〕
一方、治国別一行4人(他に万公、晴公、五三公)は河鹿峠の頂上で休憩をしていると、バラモン軍がやって来た。善言美詞の言霊を浴びせると、元来た道を引き返して山を下りて行った。治国別一行はその後を追い駆ける。〔第43巻第10章#~第12章#〕
- 玉国別一行3人と治国別一行4人は祠の森で合流した。五三公と純公を祠の前で臨時関守をさせ、残り5人(玉国別、治国別、道公、万公、晴公)で、捕虜となった伊太公を救いに行くための会議をするため祠の前を去り森陰に登って行く。五三公と純公が話していると祠の前にバラモン兵のマツ公とタツ公がやってきて、4人で打ち解けて笑い興じる。マツ公の兄が治国別(旧名・亀彦)だと分かり、五三公が治国別たちを呼んでくる。〔第43巻第13章#~第14章#〕
- 弟・マツ公と対面した治国別は、イソの館を攻撃するバラモン教の手先となるような弟は持った覚えがない、と冷たく告げる。マツ公は「私の真心をご覧に入れた上で兄弟の名乗りをお願いします」と言って、タツ公と二人は急坂を南へ下って行った。/玉国別、道公の2人は祠の後ろで、治国別、万公、晴公、五三公、純公の5人は元の森陰に隠れ、バラモン軍が通るのを待ち伏せることとなった。/そこへ五十子姫(玉国別の妻)と今子姫(五十子姫の侍女)が山を下って現れた。夫の危難を察知し、救うためにイソ館からやって来たのだ。〔第43巻第15章「温愛」#〕
マツ公、タツ公は清春山の岩窟から伊太彦を救出して祠の森へ戻る。〔第43巻第16章#~第18章#〕
浮木ケ原のバラモン教の陣営では、ヨル、テル、ハルの三人が、バラモン教が嫌になったので三五教の宣伝使がいる祠の森まで行ってみようということで、夜にこっそり陣営を脱出して、河鹿峠の祠の森へ向かった。途中、河鹿峠の谷間の滝(祠の森から3町ばかり下手)の前でイル、イク、サールの三人(元バラモン兵だが三五教に帰順した)も合流し、六人で祠の森へ向かう。〔第44巻第3章#~第4章#〕
- 祠の前に六人がやって来た。治国別は新顔の三人(ヨル、テル、ハル)の帰順を許す。〔第44巻第5章#〕
- 五十子姫に国照姫命が神懸かり、玉国別に「ここに国祖大神、豊国姫命の社殿を造り、教えの庭を立て、イソの館の喉元と言うべき河鹿峠を守れ」と命じる。また治国別には「浮木ケ原のランチ将軍の陣営を突破し、フサの国を越えて黄金山に進めよ」と命じた。治国別一行6人(他に万公、晴公、五三公、松公、竜公)は祠の前を去り、坂を下って「山口の森」へ進む。〔第44巻第6章「山下り」#〕
- 玉国別総監督の下に、大神の神殿が建設され、百余日を費やして完成した。その遷宮式は節分の夜に行われた。/神殿は三社建てられ、中央には国治立尊、日の大神、月の大神が祀られ、左には大自在天大国彦命、盤古大神塩長彦神が、右には山口の神を始め八百万の神々が鎮祭された。/この祭典が済むと玉国別の目は全快した。/玉国別は神殿を珍彦、静子、楓などに託し、道晴別、真純彦、伊太彦、道彦と共に祠の森を去り、河鹿峠を下って行く。〔第49巻第3章「地鎮祭」#~第5章「復命」#〕
(2)
高姫と妖幻坊の杢助が祠の森の聖場を乗っ取ろうとするエピソード。
脚注
- ↑ 第43巻第6章「祠前」#
- ↑ 第43巻第7章「森議」#:「勇み進んで河鹿山 峠の南に下り行く 日は西山に舂きて 黄昏近き晩秋の 空に輝く月影を 力と頼み古ぼけし 祠の前に一行は 息を休らひ立上り」「常磐木の老樹の枝を以て天を封じた祠の森は」
- ↑ 大自在天の祠だと初めて明かされるのは第43巻第14章「忍び涙」#で、マツ公の祝詞の中に「大自在天大国彦」と出て来る。
- ↑ 第44巻第8章「光と熱」#:「河鹿峠の祠の森は、実際は大自在天を祀つたものであるが、いつとはなしに山神の祠と称へらるるやうになつた。それは此山口の森の神(注・大山祇神)と混同されて了つたのである。すべて古き神社の祭神の不明になるのは、右様の理由に依るものが甚だ多いやうである」
- ↑ 第43巻第2章「懐谷」#~第4章「玉眼開」#、「懐谷」を参照