大八洲彦命
大八洲彦命(おおやしまひこのみこと)は、霊界物語に登場する人物。初代の天使長兼宰相[1]。国大立命(素盞嗚尊)の和魂である[2]。国祖隠退後は「月照彦神(つきてるひこのかみ)」と名を変えて宣伝使として活動する。後世、インドに再生して釈迦となり仏教を開いた[3]。
概要
- 表記ゆれ
- 大八洲彦命:ほぼ全て「大八洲彦命」と呼ばれている。「命(みこと)」を付けず、単に「大八洲彦」と呼ばれることはほとんどない。また「尊(みこと)」や「神(かみ)」が付く場合はない(歌の中で「大八洲彦 神の命」[4]等と呼ばれる場合はある)。
- 月照彦神:月照彦、月照彦命、月照彦大神
- 初出:第1巻第22章「国祖御隠退の御因縁」#(大八洲彦命)、第5巻第18章「宣伝使」#(月照彦神)
- 次の肩書きで呼ばれている。「天使長兼宰相」「宰相」「宰相神」「天使」「霊国天使[5]」「神将」「竜宮城の宰相神」「天使長」「地の高天原の主宰者[6]」「神務長[7]」
- 序列は稚姫君命より下である。 →「天使長」を参照
- 瑞霊が霊を下して大八洲彦命と現れた[8]。
- 豊国姫命(豊国主神)の分霊である。[9] [10]
- 大八洲彦命と次の3神は国大立命(素盞嗚命)の四魂の神である。[2]
- 第5巻第18章「宣伝使」#(国祖隠退後、大洪水の前)で、木花姫命によって天教山に多数の神人が集められたが、その時から大八洲彦命は「月照彦」という名を使っている[11]。第5巻以降は、ほとんどが「月照彦」の名で登場する。
- 大洪水後、月照彦神はインドに釈迦として誕生し、仏教を弘めた。[3] [12] [13] [14] [15]
- 月照彦神は、霊国(第一霊国)の宣伝使である。[16]
- 「都率天の月照彦」と呼ばれる場合がある[17]。都率天(兜率天)とは仏教における天上界の一つで、その内院には弥勒菩薩が住んでいるとされる。→「都率天」
- テルの国の鏡の池の神霊として現れるため、高砂島の国魂神・竜世姫と共に、高砂島の守り神のように扱われる場合がある。【例】第8巻第5章「三人世の元」#:「高砂の島には竜世姫神、月照彦神守護し給へば」、第9巻第11章「蓬莱山」#:「竜世の姫や月照彦の 神の命の守ります 高砂島は幾千代も」、第32巻第15章「万歳楽」#:「国魂神の竜世姫 月照彦の御前に」。
- 筑紫島の国魂神・純世姫と共に、筑紫島の守り神のように扱われる場合もある。【例】第34巻第6章「蜂の巣」#:「国魂神の純世姫 月照彦の神様よ」。
- 主に第9巻に登場する照彦(戸山津見)は、月照彦の再来[18]、または化身[19]である。 →「照彦」を見よ
- 霊界物語は、大八洲彦命の精霊が王仁三郎の肉体に充たされて口述したもの。[20] [21]
- 大正11年(1922年)に霊界物語の神劇が初めて行われた際、舞台正面に大八洲彦命の神霊が祭られた。[22]
- 『錦の土産』には、出口宇知麿が大八洲彦命の身魂であると記されている。[23]
主なエピソード
大八洲彦命のエピソード
大八洲彦命は第1巻後半から第3巻まで、主役クラスの一人として頻繁に登場する。特に第1巻第25章から第2巻の最後(第50章)まではほぼ全ての章に登場し、第3巻も半分くらいの章に登場する。
その中から主要なエピソードを次に挙げる。(詳細は第1巻・第2巻・第3巻を見よ)
- 第1巻 竜宮占領戦
- 武蔵彦や竹熊一派の悪神が竜宮城を占領しようと画策し、神軍と戦いになる。大八洲彦命はその神軍を率いるリーダー(肩書きは特にない)として活躍する。〔第1巻第25章「武蔵彦一派の悪計」#~第36章「一輪の仕組」#〕
- 第1巻 竹熊一派との戦い
- 竹熊と木常姫は大八洲彦命を滅ぼそうとする。大八洲彦命が投げた頭槌の玉が爆発し、竹熊は黄金水の十二個の玉と共に死海に沈んだ。木常姫も頭槌の玉によって死海の周囲の山に墜落して最後を遂げた。第1巻第50章「死海の出現」#
- 第2巻 シオン山の戦闘
- 棒振彦・高虎姫(竹熊・木常姫の再生)らの魔軍がシオン山を占領するため攻めてきた。大八洲彦命が率いる十六神将によってシオン山は守られた。第2巻第1章「攻防両軍の配置」#、第40章「山上の神示」#~第42章「甲冑の起源」#
- 第3巻 初代天使長に任命される
- 国祖国治立命は、天地の律法を天上・地上にあまねく宣伝するため、十六柱の神司を天使に任命した(→「十六天使」)。大八洲彦命はその天使長となり、十六天使を指揮することとなった。〔第3巻第1章「神々の任命」#〕
- その後、「天使長兼宰相」となり、国祖の下で政治を司ることになるが、具体的にいつ宰相に就いたのかは記されていない。
- 第3巻第27章「不意の昇天」/a075#で、宰相格の国直姫命[24]が天に上がってしまったが、その後、大八洲彦命が宰相になったと考えられる。第3巻第41章「二神の帰城」/a042#では「地の高天原の主宰者なる大八洲彦命」と呼ばれているので、これが宰相になったということか?
- 第3巻 破軍の剣を使ってしまい更迭される
- 八王大神常世彦が数多の魔軍を率いて数百千の磐船に乗り聖地エルサレムの上空に攻め寄せて来た。国祖は大八洲彦命に「敵を言向け和せ。暴力で対抗してはならない」と命じたが、大八洲彦命は敵の攻撃にやむを得ず、「破軍の剣」を使い敵を殲滅した。国祖は「殺すなかれ」の律法を犯した大八洲彦命を始めとする四天使を罷免し、聖地から退去して幽庁への左遷を命じた。しかし四天使の妻神らの歎願により、国祖は罪を赦し、万寿山[25]への蟄居を命じた。〔第3巻第43章「配所の月」#〕
- 第4巻 第六代天使長に選定されるが断る。
- 第五代天使長・桃上彦が辞任[26]した後、聖地エルサレムに八百万の神人が集まり、後任の天使長を選定した。まず大八洲彦命が選定されたが、大八洲彦命は「天則違反により蟄居を命じられた者なので国祖の前に列することは出来ない」と断る。次に高照姫命が選定されたが、やはり断った。次に常世彦が選定され、第六代天使長となる。〔第4巻第37章「時節到来」#〕
- 第4巻 国祖に罪を赦される
- 国祖によって総ての神人の罪は赦され、大八洲彦命・高照姫命ら8人は、国祖の侍者として奥殿に奉仕する。しかし神務のみで神政に関わることは許されなかった。大八洲彦命は「神務長」[27]となる。〔第4巻第38章「隙行く駒」#〕
- 第4巻 根底の国に追放される
- 第七代天使長・常世彦(常世彦二世)は八百万の神人の意見だとして、国祖に対し、大八洲彦命・高照姫命ら国祖の側近を、神界攪乱者として根の国底の国へ追放するよう要求する。国祖は涙を呑んでその要求を容れ、大八洲彦命らを追放した。〔第4巻第43章「勧告使」#、第44章「虎の威」#〕
月照彦神のエピソード
月照彦神は、大洪水前は言触神(宣伝使)として世界各地を旅する。
大洪水後は、肉体の無い神霊として登場する。
- 第5巻第18章「宣伝使」#:国祖隠退後の地上で、木花姫命は天教山に大八洲彦命ら多数の神人を集め、国祖の予言警告を宣伝するため世界各地に派遣した。この時から大八洲彦命は「月照彦神」という別名を名乗っている。
- 次の3ヶ所で月照彦の宣伝の旅が描かれる。
これ以降は神霊として登場する。
- 第7巻第26~27章で、熊襲の国の岩窟の神「建日別」として現れ、小島別に大声で説教する。→「建日別 (曖昧さ回避)」参照
- 第8巻と第29巻で、テルの国の鏡の池の神霊として現れる(池の底から声だけ出す)[28]。
- 第8巻第9章「鏡の池」#~第10章「仮名手本」#:月照彦神は池の中から猿世彦(狭依彦)に説教する。
- 第29巻第1章「アリナの滝」#~第2章「懸橋御殿」#:鷹依姫一行は鏡の池がある岩窟で宗教を開いて黄金の玉を集める。鷹依姫は月照彦神だと偽って、テーナの里の酋長アールから黄金の玉を騙し取り、国玉依別命という名を与え、月照彦神を祭れと言い残して岩窟から逃げ去った。国玉依別命は鷹依姫の偽の神懸かりを信じて、月照彦神を祭る「懸橋御殿」を建て、神司として仕えた。これは鷹依姫が玉を騙し取るために言った偽の神示であるが、神界から見れば神意によって神命を与えたことになっている[29]。
- 第29巻第8章「高姫慴伏」#:月照彦神は池の中から高姫に説教をする(しかし高姫は池の底の神はスッポンのお化けだよと馬鹿にして改心しない)。
- 第29巻第10章「国治の国」#:懸橋御殿の「国」という名の幹部に月照彦神が神懸かり、高姫に説教する(しかし高姫は偽神懸かりだと非難して改心しない)。
- 第29巻第11章「日出姫」#:「大の男」が高姫を放り上げる。この「大の男」は月照彦神である。[30]
- 第48巻第13章「月照山」#:(天国巡覧中の一場面)霊国で、治国別・竜公の前に、霊国の宣伝使・大八洲彦命[31]が現れ、二人を月宮殿へ案内する。
- 第56巻第11章「惚泥」#:求道居士とケリナ姫がテルモン山に向かう途中、ヘルとベルに襲われた。この時、空からエンゼルが火団となって現れた。これは第一霊国から月照彦神が二人の危難を救うために現れたのだった。
- 第60巻第9章「夜光玉」#~第10章「玉国」#:三千年前、月照彦神は、風水火の天災を起こすタクシャカ竜王から夜光の玉を取り上げ、アヅモス山の岩窟の底深く竜王を封じ込めた。[32]
脚注
- ↑ 第1巻第22章「国祖御隠退の御因縁」#:「国祖は(略)大八洲彦命を天使長兼宰相の地位に立たして」
- ↑ 2.0 2.1 第3巻第43章「配所の月」#:「この四神将は元来国大立之命、天神の命を奉じて大海原の国を知食すべく、その精霊魂を分ちて神界の守護に当らせたまひしものにして、 大八洲彦命は和魂であり 言霊別命は幸魂であり また、大足彦命は荒魂であり 神国別命は奇魂である」
- ↑ 3.0 3.1 第6巻第23章「諸教同根」#:「これらの諸神人は幽界を修理固成し、かつ各自身魂の帰着を定め、再び地上に出生して、月照彦神は印度の国浄飯王の太子と生れ、釈迦となつて衆生を済度し、仏教を弘布せしめたまひけり」
- ↑ 第20巻第4章「六六六」#:「ミロクの御代に大八洲彦 神の命や大足彦の」
- ↑ 第1巻第50章「死海の出現」#:「国常立尊は大八洲彦命および稚姫君命の功績を賞し、ここに霊国天使の神位を授けたまうた」
- ↑ 第3巻第41章「二神の帰城」#
- ↑ 第4巻第40章「照魔鏡」#等
- ↑ 第1巻第25章「武蔵彦一派の悪計」#:「瑞霊は茲に霊を下して大八洲彦命と現はれ」
- ↑ 第20巻第4章「六六六」/a192#:「豊国姫の分霊(わけみたま) ミロクの御代に大八洲彦 神の命や大足彦の」
- ↑ 第41巻総説#:「瑞の御魂豊国主神の分霊なる和魂の神大八洲彦命が」
- ↑ 第5巻第18章「宣伝使」#:「集つた神人は、大八洲彦命(一名月照彦神)」
- ↑ 第29巻第9章「俄狂言」#:「神の恵の大八洲 彦命の又の御名 月照彦の神霊は」
- ↑ 第40巻緒言#:「大八洲彦命は再生して月照彦神となり、終には印度国に降誕して釈迦となつた」
- ↑ 第41巻総説#:「瑞の御魂豊国主神の分霊なる和魂の神大八洲彦命が一旦月照彦神と現じ再生して釈迦となり」
- ↑ 第45巻第14章「三昧経」#:五三公のセリフ「国大立尊の別御霊なる大八洲彦命様が月照彦と現はれ」
- ↑ 第48巻第13章「月照山」#:「私は大八洲彦命と申す霊国の宣伝使で厶います」、第56巻第11章「惚泥」#:「是は第一霊国より月照彦命が」
- ↑ 第39巻第7章「都率天」#:「ここは都率天の月照彦さまのお宮で御座います」、第39巻第12章「種明志」#:「すでにすでに都率天の月照彦の神さまのお側で御用をして厶る」、第40巻第13章「試の果実」#:「妾は都率天より月照彦神様の命を奉じ」
- ↑ 第9巻第37章「凱歌」#:(照彦のセリフ)「隈なく照らす月照彦の神の再来、照彦とは仮の名、今は(略)戸山津見の神」
- ↑ 第41巻第14章「慈訓」#:(竹野姫のセリフ)「月照彦様の御化身照彦と云ふ」
- ↑ 『錦の土産#』:「伊都能賣の御魂 霊国の天人なる大八洲彦命の精霊を充たし 瑞月の体に来たりて口述発表したる霊界物語は世界経綸の一大神書なれば 教祖の傳達になれる神諭と共に最も貴重なれば」
- ↑ 『暁の烏』「(二)霊界物語発行の目的及び発行までの手数。#」:「霊界物語は、伊都能売御魂霊国の天人たる大八洲彦命の御精霊を、瑞月聖師の体に充たして口述発表されたるミロク御経綸上の一大神書でありまして」「初めに大八洲彦命云々と申し上げましたが、この神様御一柱によりて口述さるるのではなく、その日その日の口述範囲に関係ある真精霊様が神集われ、大八洲彦命総指揮の下にそれぞれ分担的に聖師様を通じて口述さるるのであります」
- ↑ 『大本七十年史 上巻』「新機運の動向#」:「はじめて神劇をこころみたのは、前年の節分大祭のおりであったが、それは小規模なものであった。そのときみろく殿内の東側に仮設された舞台はこわさずに存置され、その正面に大八洲彦命の神霊がまつられた。そしてその舞台で夕拝後、三味線入りで『霊界物語』の音読が毎夕かかさずつづけられてきたのである」
- ↑ 『錦の土産#』:「此神示は他見を或時期までは許されぬぞよ。宇知丸の瑞の分霊大八洲彦の身魂に堅く預けおく」「宇知丸は瑞の御魂の分霊にして大八洲彦命の精霊の再生なり」
- ↑ 肩書きは特に記されていない。→「天使長#天使長の職務」を参照せよ
- ↑ 「霊鷲山」と記されている場合もある。第4巻第36章「天地開明」#:「霊鷲山に退隠したる大八洲彦命、言霊別命、神国別命、大足彦をはじめ」
- ↑ 第4巻第36章「天地開明」#
- ↑ 第4巻第40章「照魔鏡」#:「神務長大八洲彦命にむかひ」、他
- ↑ 第8巻第10章「仮名手本」#:「澄み渡る大空の月照彦の神の御魂の申す事、無寐にも忘れな猿世彦、吾こそは元は竜宮城の天使長大八洲彦命なるぞ」、他
- ↑ 第29巻第9章「俄狂言」#:「アール、アルナの夫婦は其実、鷹依姫、竜国別の故意を以て、月照彦の神示と偽り、国玉依別、玉竜姫の名を与へたれ共、やはり惟神の摂理に依つて神より斯の如く行はしめられたるものにして、決して鷹依姫、竜国別の悪戯にあらず、全く神意に依りて、両人は夫婦に神命を与へた事と、神界より見れば確かになつて居るのである」
- ↑ 第29巻第11章「日出姫」#:「此大の男と見えしは、鏡の池に現はれました月照彦命の出現であつたとの事なり」
- ↑ 第48巻第13章「月照山」#:「私は大八洲彦命と申す霊国の宣伝使で厶います」
- ↑ 第60巻第9章「夜光玉」#:「神示に依れば此玉は夜光の玉であつて、タクシャカ竜王が宝物である。されど此玉を彼に持たせ置く時は、再び天地の間に跋扈跳梁して風水火の天災を誘起するをもつて月照彦の神がこれを取り上げ、此処に安置しおき、岩窟の底深く竜王を封じ置かれたとの事であつた」、(伊太彦の歌)「皇大神の勅もて 月照彦の大神は 汝を此処に封じまし 世の禍を除かれぬ」、(タクシャカ竜王の歌)「三千年の古より 月照彦の大神に 押し込められし吾こそは タクシャカ竜王魔の頭」、第60巻第10章「玉国」#:(玉国別の歌)「三千年の其昔 月照彦の大神が 此世を安く治めむと 秘めおかれたる汝が霊」、(タクシャカ竜王の歌)「神力無双のエンゼルと 現はれ玉ひし月照彦の 神の命が天降り 有無を言はせず言霊の 伊吹に吾を霊縛し アヅモス山の地の底に 今迄封じ玉ひけり」
関連項目
- 天使長#初代天使長・大八洲彦命
- 照彦:月照彦神の再来
- 大八島